2017-09-03(Sun)

ヨルガオ

ヨルガオ(夜顔)とはヒルガオ科の植物の一種。学名Ipomoea alba(シノニムI. aculeata 、I. bona-nox、Calonyction aculeatum)。

○特徴
白花で、熱帯アメリカ原産のつる性植物。原産地においては多年草であるが、日本では春まきの一年草として扱う。4~5月頃に種をまく(発芽には約20度程度必要なので、一般にはゴールデンウィークを目安に蒔くのが望ましい)と、7月から10月頃(暖地では11月頃まで)に開花する。花はロート形で夕方から咲き始め翌朝にしぼむ。 日本には明治の始め頃に渡来し、観賞用として栽培された。ヨルガオのことを「ユウガオ」という人も多いが、標準和名のユウガオ(学名Lagenaria siceraria var. hispida)はウリ科の野菜(かんぴょうの原料となる)で互いに花が似てはいるが別の種である。花言葉は「夜」。

○その他
園芸種としては「白花夕顔」や「赤花夕顔」などがあり白花夕顔は直径15cm程の大輪咲きである。上手に開花させるためには水切れしないように朝晩に水を与えて、しおれないように注意しなければならない。赤花夕顔は和名「ハリアサガオ」といい、茎に多くの突起があることにちなむ。直径5cmほどで極小輪で花の中心が淡い紅紫色に染まる。 どちらも芳香があるので人気が高い。日本の古典、「源氏物語」で出てくる夕顔はウリ科の植物であり、夜顔と混同されて記載された文章やイラストがあるが、夜顔は日本には明治の始め頃に渡来し、観賞用として栽培されたもので別物である。

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2017-08-23(Wed)

ガマ

ガマ(蒲、香蒲、学名:Typha latifolia L.)は、ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物である。円柱状の穂は蒲の穂と呼ばれる。
○分布
北半球の温暖な地域やオーストラリアと日本の北海道から九州の広範囲に分布する。池や沼などの水辺に生える。

○特徴
葉は高さ1-2 mで、水中の泥の中に地下茎をのばす。夏に茎を伸ばし、円柱形の穂をつける。穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりでありソーセージに似た形状である。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る。風媒花である。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な果実になる。この果実は風によって飛散し、水面に落ちると速やかに種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。 また、強い衝撃によって、種が飛び散ることもある。メイガ科(あるいはツトガ科)のニカメイガ(Asiatic rice borer, Chilo suppressalis)、ヤガ科のオオチャバネヨトウ(Nonagria puengeleri)などの幼虫の食草である。魚類などの産卵場所や避難場所として利用され、栄養塩類の除去などの水質浄化に役立っている。

○利用方法
花粉には、イソラムネチン、α-ティファステローム、β-シトステロール、ブドウ糖などの成分が含まれる。花粉は生薬としては「蒲黄」(ほおう)と呼ばれる。内服すると利尿作用、通経作用があるとされる。 中国南朝の陶弘景注『神農本草経』、唐代の孫思?著『備急千金要方』には、蒲黄が止血や傷損(すり傷)に効くとある。『古事記』の因幡の白兎の説話では、毛をむしり取られた兎に、大穴牟遅神(大国主)が蒲黄を取って敷き散らし、その上に転がるよう教える。雌花の熟したものは綿状(毛の密生した棒様のブラシ状)になり、これを穂綿と呼ぶ。火打ち石で火を付けていた時代には、穂綿に硝石をまぜて火口として用いることがあった。蒲の穂を乾燥させて、蚊取り線香の代用として使われる事もある。茎、葉は、樽作りで、樽材の隙間に噛ませ、気密性の向上に利用される事もある。また、かつてアイヌは葉を編んでゴザにした。

○ガマ属の種
ガマ属(Typha)の日本で見られる主な種は以下である。これらは日本全土の池や沼に分布し、高さ1.5-2 mの多年草で、花期は6月-8月、ガマが最も早く、ヒメガマ、コガマと続くとされる。雌花序と雄花序が離れて花茎の軸が見えるのがヒメガマ、雌花序と雄花序が連続しており、雌花序の長さが10-20 cmのものがガマ、6-10 cmのものがコガマと識別できる。種によって酸素漏出速度が異なり、生育している土壌に与える影響が異なる。
ガマ(学名 Typha latifolia L.)
ヒメガマ(学名 Typha domingensis Presl)
コガマ(学名 Typha orientalis L.)

○その他
「蒲の穂」は「かまぼこ」の語源である。当時のかまぼこは現在と形が異なり細い竹にすり身を付けて焼いた食べ物を指していた。これは現在のちくわにあたる。ちくわと蒲の穂は色と形が似ている。

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2017-08-20(Sun)

ウツボカズラ

ウツボカズラ(靫葛)はウツボカズラ属の植物の総称でもあるが、その中の1種であるNepenthes rafflesiana Jack の標準和名でもある。この記事はこの種について扱う。丸く膨らんだ捕虫袋と漏斗型のそれを付けるもので、東南アジアに比較的広い分布域を持つ。

○特徴
常緑性の蔓植物で食虫植物。茎は細長く伸びて4mほどになるが、時として15mに達する例もある。茎には白い綿毛が密生し、特に若い茎に多い。捕虫袋や葉の形は茎の下部と上部で異なる。下部の葉は葉身が披針形からさじ型で長さ8-30cm、幅1.5-5cm、葉柄は長さ2-10cmで楯溝と細い翼があり、その基部は茎の半分から2/3までを抱える。そこから生じる捕虫袋は全体に球形から卵形で下が丸く膨らんでいる。よく発達した翼が縦に2枚あり、その縁は細かな糸状に裂ける。袋の口にある縁歯はよく発達し、平らで袋の内部に向けて垂直に伸び、その幅は1.2-1.5cmになる。茎の上部では、葉は長さ12-30cm、幅3-10cm、葉身の形は倒卵円形から披針形、葉柄は長さ6-15cmでやはり縦溝と狭い翼があるが、その基部は茎を半分ほどしか抱えない。そこに生じる捕虫袋は上向きに広がった漏斗型で縦の翼は無くなる。ただし袋の形態やその斑紋などには変異が多い。学名の種小名はイギリスの植民地行政官で、ナチュラリストとしても知られるトーマス・ラッフルズにちなんだものである。

○分布と生育環境
マレー半島、シンガポール、ボルネオ島、スマトラ島などに広く分布する。低地に生える。特にマレー半島やボルネオ島では普通種で、低地林の林縁によく見られる。雑草的な性格の丈夫な植物である。

○自然交雑種
分布域の重なるツボウツボカズラ N. ampularia はより湿潤な林を好むが、同じ場所に生育していることもあり、自然交雑種としてフッカーウツボ N. ×hookeriana がある。形態的には両者の中間的である。捕虫袋はやはり2形を示し、下部のものは壺型、よく発達した翼があるが、その縁は縁毛のある型から細かな鋸歯のあるものまで変異が多い。上のものは漏斗型。ボルネオ、スマトラ、マレー半島で自生が知られている。

○利用
観葉植物、食虫植物として観賞用に栽培される。本種はその歴史が古く、イギリスに導入されたのは19世紀の初め、日本に持ち込まれたのは1902年にさかのぼる。

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2017-08-20(Sun)

ハエトリグサ

ハエトリグサ(蠅捕草、Dionaea muscipula)は、北アメリカ原産の食虫植物。別名、ハエトリソウ、ハエジゴク。葉を素早く閉じて獲物を捕食する姿が特徴的で、ウツボカズラと並ぶ有名な食虫植物である。英語の“Venus Flytrap”(女神のハエ取り罠)は、2枚の葉の縁の「トゲ」を女神のまつ毛に見立てたことに由来する。

○形態
ごく背の低い草本で、茎は短縮していて地中にあってわずかに横に這い、多数の葉をロゼット状に出す。葉の付け根は肥大し、地下茎とともに鱗茎型の球根を形成している。葉には長い葉柄があり、先端に捕虫器になった葉を着ける。葉柄は扁平で幅広く、地表に這うか、少し立ち上がる。捕虫器は二枚貝のような形で、周辺にはトゲが並んでいる。ハエトリグサは葉が印象的なうえ、しばしば捕虫部の内面が鮮やかな赤色に色づくため、花と勘違いされることもある。実際には葉と別の花茎が立ち上がり、その先に白い花が数個固まって咲く。この花のつき方は同じ科のモウセンゴケとも共通する。

○進化と系統
分子的な証拠によれば、およそ6500万年前にハエトリグサ属と姉妹属であるムジナモ属は、他のモウセンゴケ科の植物と分岐した[2]。しかしハエトリグサの系統の化石の証拠はほとんど見つかっていない。ムジナモとハエトリグサには粘液を分泌する捕虫毛が無く、可動式の罠で獲物を捕らえるという共通点がある。一方モウセンゴケ科の植物の中には捕虫毛を刺激の方向へ動かすものがおり、これは一種の前適応と考えられている。またモウセンゴケの捕虫毛がハエトリグサの捕虫葉の縁に生えた“クシ”と感覚毛に進化したと推測されている。

○捕虫
食虫植物と言えば、虫をぱくぱく食べるような印象があるが、実際には多くは粘着式や落とし穴式で、ほとんど動かない。はっきり動くものはほとんどなく、あってもムジナモのように小柄であったり水中生活をしているものや動作をしてもとても遅いことが多いので、虫を能動的に捕らえる瞬間を肉眼ではっきり確認できる食虫植物は、実質的にはこの種だけと言って良い。ただし能動的とは言っても虫をおびき寄せる性質はないため、昆虫駆除の役にはほとんど立たない。ハエトリグサの葉は2枚が二枚貝のように、重なるように生えており、その葉の縁には多くのトゲが並んでいる。葉の内側には3本ずつ(4本のものもある)の小さな毛(感覚毛)が生えている。昆虫などの獲物が2回または2本以上の感覚毛に同時に触れると、約0.5秒で葉を閉じる。葉が閉じると同時に周辺のトゲが内に曲がり、トゲで獲物を閉じ込めてしまう。葉を閉じるのに必要な刺激が1回ではなく2回なのは、近くの葉や雨の水滴などが触れた時の誤作動を防いだり、獲物を確実に捕えるための適応と考えられている。また、1回触れた後、もう1回触れるまでに20秒程度以上の間隔があると、葉は半分程度しか(もしくは全く)閉じない。この時間を記憶し、リセットする仕組みについては長らく謎であったが、2010年にジャスモン酸グルコシドという物質が関与していることが解明された。感覚毛に触れるとこの物質が出るが、1回の刺激だけでは葉が閉じる運動を起こすのに必要な量に足りないため葉は閉じず、2回刺激して初めて必要な量に達し葉が閉じるのである。葉が虫を取り逃がして閉じてしまう場合もあり、その際は3日程度で再び開く。1日ほどたつと葉は完全に閉じられ、トゲは逆に外に反り返り、葉の内側で捕まえた獲物を押しつぶし、葉から分泌される消化液でゆっくりと獲物を溶かす。およそ10日で養分を吸収し、葉はまた開いて獲物の死骸を捨て、再び獲物を待つ[5]。葉には寿命があり、一枚の葉が捕らえる回数は2-3回くらいである[要出典]。また葉を閉じる行為は相当なエネルギーを消費するため、いたずらに葉を閉じさせ続けてしまうと、葉はおろか株全体が衰えて終いには枯れてしまう。他の食虫植物同様、彼らにとっての捕虫は生存に必要なエネルギーを得るためではなく、肥料となる栄養塩を獲得するのと同じ行為である。だから、捕食しなくとも一般の植物が肥料不足になったのと同じ状態ではあるが、光合成で生産した糖をエネルギー源にして生き続けることはできる。また、ハエ以外の昆虫はもちろん、ナメクジのような昆虫以外の小動物も捕食する。原産地であるアメリカ合衆国のノースカロライナ州、サウスカロライナ州にまたがる自生地は保護区に指定されていて、さらにワシントン条約で球根の輸出入は全面禁止されている。しかし栽培繁殖は比較的容易で、観賞用としての品種改良も進んでいる。日本でも数種類のハエトリソウの品種が容易に手に入り(初夏によく出回る)、鉢植えで育てることができる。

○栽培
熱帯植物と思われがちだが温帯性で、冬季は低温下で休眠させることによって越冬させないと、次第に衰弱して枯死する。湿地の植物なので乾燥に弱く、冬季に球根で休眠している時期にも水を切らさないように注意を払う必要がある。培養土はピートモス、乾燥ミズゴケをもみほぐした粉、籾殻を適宜混ぜて植えると管理が楽である。繁殖に際しては毎年球根の数が2 - 3倍程度に増えるので、植え替え時に株分けすればよい。また自家受粉で容易に結実するので黒い胡麻粒状の種子を親株と同様の培養土に蒔き、水を十分与えて乾燥しないように管理すれば発芽する。ただし親株にまで成長するには何年もかかる。捕食にも注意が必要で、蟻などをあたえると蟻酸で葉が枯れてしまう場合がある。また葉いっぱいの虫を捕らえると、場合によっては消化を待たずして、その葉だけが枯れてしまう。ハエトリソウは、チーズのような蛋白質系のものを好み、逆に脂質(肉系のもの)の物を沢山与えると枯れてしまうので注意が必要である。花茎が伸びると株が衰えてしまうので、若い株は摘んでしまうのが望ましい。

○品種
組織培養や人工交配などによってハエトリグサには様々な品種が存在している。真っ赤な色を持つハエトリソウや棘が変形したものなど数多くの品種が存在する。



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2017-08-20(Sun)

食虫植物

食虫植物は、食虫という習性を持っている被子植物門に属する植物の総称。食肉植物、肉食植物と言われる場合もある。食虫植物は「虫を食べる植物」ではあるが、虫だけを食べてエネルギーを得ているのではなく、基本的には光合成能力があり、自ら栄養分を合成して生育する能力がある。
○特徴
葉や茎などが捕虫器官になっており、昆虫や動物プランクトンをおびき寄せて捕らえ、消化吸収する能力を持つ。種によっては誘引する機能や消化機能がないものもあり、人によっては食虫植物に分類するかどうかで議論が分かれる場合もある。虫を捕らえるしくみを持つ植物はかなりの数に上る。例えば葉や茎に粘毛や粘液腺を持つ植物(ムシトリナデシコ、モチツツジ)や、花に仕掛けがあって、入り込んだ昆虫を閉じこめるもの(クマガイソウなど)などである。中にはムシトリナデシコのように、食虫植物のような名前を付けられているものもある。しかし、基本的には、捕まえるだけではなく、消化液を分泌し、さらに吸収するしくみを備えていなければ食虫植物とは認められない。ただし、吸収については、通常の植物であっても葉の面から肥料を吸収できるし、逆に食虫植物であっても、捕らえた昆虫の成分を根から吸収するのではと言われるものもある。つまり、食虫植物とは、表面で昆虫を捕らえ、殺して分解し、そこから何らかの栄養分を取るものである。植物が昆虫を捕らえる目的は他にもあり、多くの粘液を出す植物は、昆虫からの食害を防ぐためであると考えられる。マツなどの樹液もそのような意味があると見られる。他方、花が虫を捕らえるのは、たいていの場合は花粉媒介をさせるためで、しばらくすると放してやるしくみになっている。現在のところ、食虫植物として認められているものは、主として葉や茎で微生物及び昆虫や小動物を捕らえる。よく言われるような、花で虫を捕らえる食虫植物は存在しない。とはいえ粘着式の植物にはがくや花弁の裏側に幾分かの粘毛が見られる場合もある。一般に食虫植物は日光や水は十分であるが、窒素やリン等が不足しているため他の植物があまり入り込まないような土地、いわゆる痩せた土地に生息するものが多く、不足する養分を捕虫によって補っていると考えられる。一般に根の発達は良くないものが多い。

○虫の取り方
捕虫方式は
落とし穴式:ウツボカズラ科、サラセニア科など
粘着式:モウセンゴケ科モウセンゴケ属、タヌキモ科ムシトリスミレ属など。一部は葉が動いて虫をはさむ。
はさみわな式:葉ではさんで捕らえる。モウセンゴケ科ハエトリグサ属、ムジナモ属
袋わな式:水中で袋の中に虫を吸い込む。タヌキモ科タヌキモ属

に分けられる。捕虫器官の特異な形状や食虫という習性が一般的な植物の印象からかけ離れており、気味悪さを覚える人もいるが、逆に興味をひかれる人もいる。ハエトリグサは二枚貝のような捕虫葉を1秒たらずで閉じるという素早い動きを見せるうえ、ホームセンターなど身近なところで見る機会があるため、興味を持つ人も多い。

○分布
寒冷地から熱帯雨林、高山から低湿地や池と、世界中に分布しているが、個々の種としてみた場合、ハエトリグサや日本のコウシンソウのように限られた地域にしか自生していないものも多い。自生地には他の希少な植物が生えていることも多く、自治体によって保護されている場所もある。例えば栃木県のコウシンソウ自生地は国の特別天然記念物[2]、千葉県山武市と東金市にまたがる「成東・東金食虫植物群落」は国の天然記念物、愛知県武豊町の壱町田湿地は愛知県の天然記念物に指定されている。希に外来種として繁殖する種もある。タヌキモ属でアメリカ合衆国原産のウトリクラリア・ラディアタ、ウトリクラリア・インフラタは、兵庫県や静岡県の池で繁殖して話題になったことがある。日本の場合、各地で自生地が消滅している。理由は以下のものがあげられる。
開発による自生地の破壊
業者や愛好家による度を過ぎた採取や、採取が禁止されているところでの盗掘
湿地の乾燥化、池の富栄養化、他の植物の進出など環境の変化

○利用
その形や性質の面白さから、園芸植物として観賞用に栽培され、食虫植物は一つのジャンルをなしている。ただし一般に広く認められるほど美しいものは少なく、むしろ珍奇なものが多いことから、多くは特定の趣味家の楽しみの範疇である。理科教材として栽培されることもある。水湿地の植物が多いため、水草として栽培される例もある。しかし、栽培が広く行われ、園芸的な品種改良が行われる例もある。特にその面で目立つのはウツボカズラであり、非常に多くの交配品種が作出されている。ほかにモウセンゴケ属でもアフリカナガバノモウセンゴケやヨツマタモウセンゴケにも園芸的な品種がある。またミミカキグサ類では捕虫の構造は目立たないが、花が面白い形と美しい色を持っていることから栽培されるものが複数ある。ただしそのために野生品が乱獲され、絶滅を危惧されるようになっている例もあり、保護の必要性が言われるものも多い。

○栽培
入手方法は愛好者同士の交換や売買、業者による通販があるが、ハエトリグサやモウセンゴケ、サラセニアなど一部の種類は夏に花屋やホームセンターなどで入手できる事もある。栽培方法は種によって自生地の環境が違うため一概には言えないが、用土は水苔を用いる事で育てられるものが多い。基本的には一般の植物と同じく光合成により栄養を得ているため、栽培下では人手をかけて虫を与える必要はなく、逆に虫が腐敗して植物に悪影響を与える場合があるので注意が必要である。貧栄養の土地で育つため、肥料も原則として必要はない。





2017-06-14(Wed)

イチジク

イチジク(無花果、映日果)は、クワ科イチジク属の落葉高木、またはその果実のことである。原産地はアラビア南部。不老長寿の果物とも呼ばれる。
○名称
「無花果」の字は、花を咲かせずに実をつけるように見えることに由来する中国で名付けられた漢語で、日本語ではこれに「イチジク」という熟字訓を与えている。中国で「映日果」は、無花果に対する別名とされた。「映日果」(インリークオ)は、イチジクが13世紀頃にイラン(ペルシア)、インド地方から中国に伝わったときに、中世ペルシア語「アンジール」(anj?r)を当時の中国語で音写した「映日」に「果」を補足したもの。通説として、日本語名「イチジク」は、17世紀初めに日本に渡来したとき、映日果を唐音読みで「エイジツカ」とし、それが転訛したものされている。 中国の古語では他に「阿?」「阿驛」などとも音写され、「底珍樹」「天仙果」などの別名もある。伝来当時の日本では「蓬莱柿」「南蛮柿」「唐柿」などと呼ばれた。いずれも“異国の果物”といった含みを当時の言葉で表現したものである。属名 Ficus (ficus)はイチジクを意味するラテン語。イタリア語: fico, フランス語: figue, スペイン語: higo, 英語: fig, ドイツ語: Feige など、ヨーロッパの多くの言語の「イチジク」はこの語に由来するものである。

○形態・生態
葉は大型の3裂または5裂する掌状で互生する。日本では、浅く3裂するものは江戸時代に日本に移入された品種で、深く5裂して裂片の先端が丸みを帯びるものは明治以降に渡来したものである。葉の裏には荒い毛が密生する。葉や茎を切ると白乳汁が出る。新枝が伸びだすと葉腋に花を入れた袋である花嚢がつく。下のものから順に育ち、花嚢は果嚢となって肥大化する。花嚢は倒卵状球形で、厚い肉質の壁に囲まれ、初夏に、花嚢の内面に無数の花(小果)をつける。このような花のつき方を隠頭花序という。雌雄異花であるが、イチジク属には雌雄同株で同一の花嚢に両方花をつける種と雌雄異株で雄株には同一の花嚢に雌雄両方の花、雌株には雌花のみを形成する種がある。栽培イチジクの栽培品種は結実に雌雄両株が必要な品種群が原産地近辺の地中海沿岸や西アジアでは古くから栽培されてきたが、受粉して雌花に稔性のある種子が形成されていなくても花嚢が肥大成長して熟果となる品種もあり、原産地から離れた日本などではこうした品種が普及している。イチジク属の植物は自然では花嚢内部にはイチジクコバチ(英語版)などのイチジクコバチ属Blastophaga spp.の蜂が共生しており雌雄異株の種では雄株の花嚢に形成される雌花の受精後の種子全てを、雌雄同株の種では花嚢内の雌花の柱頭の長短で2群に分かれるもののうち柱頭の短い型のものに形成される種子を幼虫時代の食物として繁殖し、雄花の花粉を体の花粉収納器官に収めた交尾後の雌が若い花嚢に潜り込み花粉を散布することで受粉を媒介する。日本で栽培されているイチジクはほとんどが果実肥大に日本に分布しないイチジクコバチによる受粉を必要としない単為結果性品種である。ほとんどの種類の果実は秋に熟すと濃い紫色になり、下位の部分から収穫することができる。甘みのある食用とする部分は果肉ではなく小果と花托である。

○利用
・歴史
原産地に近いメソポタミアでは6千年以上前から栽培されていたことが知られている。地中海世界でも古くから知られ、エジプト、ギリシアなどで紀元前から栽培されていた。古代ローマでは最もありふれた果物のひとつであり、甘味源としても重要であった。最近の研究では、ヨルダン渓谷に位置する新石器時代の遺跡から、1万1千年以上前の炭化した実が出土し、イチジクが世界最古の栽培品種化された植物であった可能性が示唆されている。日本には江戸時代初期、#名称節にもあるように、ペルシャから中国を経て、長崎に伝来した。日本に古く渡来したのが在来種で、のちに果樹として洋種が栽培されている。当初は薬樹としてもたらされたというが、やがて果実を生食して甘味を楽しむようになり、挿し木で容易にふやせることも手伝って、手間のかからない果樹として家庭の庭などにもひろく植えられるに至っている。

・食用
果実は生食するほかに乾燥イチジク(ドライフィグ)として多く流通する。生果・乾燥品ともに、パン、ケーキ、ビスケットなどに練りこんだり、ジャムやコンポートにしたり、スープやソースの材料として、またワインや酢の醸造用など、さまざまな用途をもつ。ほかにペースト、濃縮果汁、パウダー、冷凍品などの中間製品も流通している。日本国内では甘露煮にする地方もある。また、いちじくの天ぷらも流行している。果実には果糖、ブドウ糖、蛋白質、ビタミン類、カリウム、カルシウム、ペクチンなどが含まれている。クエン酸が少量含まれるが、糖分の方が多いので、甘い味がする。食物繊維は、不溶性と水溶性の両方が豊富に含まれている。

・薬用
熟した果実、葉を乾燥したものは、それぞれ無花果、無花果葉といい生薬として用いられる。6?7月頃に採取して日干しにした果実(無花果)には、水分約20?30%、転化糖約20?50%、蛋白質約4?8%、油脂油1-2%、有機酸、酵素、ビタミンC、ミネラルが含まれる。イチジクには整腸作用があり、果実を干したもの3?5個を600ミリリットルの水に入れてとろ火で半分まで煮詰めてかすを取り除いたものまたは、30分ほど煎じたものを1日3回に分けて服用して、便秘の緩下剤に使われた。生の果実をそのまま1日2?3個程度を毎日食べ続けても同様の効果が期待される。便秘のほかにも、滋養に利用されたり、痰の多い咳、のどの痛みや痔にも効能があるとされる。7?9月頃に採取した成熟した葉を日干しさせた無花果葉には、蛋白分解酵素、血圧降下作用があるプレラレエン、タンニンが含まれる。風呂に入れて浴用に使われ、冷え性、肌荒れ、痔の出血止め、脱肛、腰痛、神経痛に効能があるとされる。また果肉や葉から出る白い乳液にはゴムに近い樹脂分が含まれるが、民間薬として、疣に塗布したり、駆虫薬として内服した。正常な肌に乳液がつくと、かぶれやかゆみが起こることがある。

・その他の利用
またイチジクの樹液にはフィシンという酵素が含まれており、日本の既存添加物名簿に収載され、食品添加物の原料として使用が認められている。ほかにイチジク葉抽出物は製造用剤などの用途でかつて同名簿に掲載されていたが、近年販売実績がないため、2005年に削除された。

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2017-06-14(Wed)

ハイビスカス

○広義の用法
アオイ目アオイ科の下位分類たるフヨウ属 Hibiscusのこと。また、そこに含まれる植物の総称。英語での Hibiscus は一般にこちらを指す。「ハイビスカスティー」に用いられる花は、通常、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)と呼ばれるフヨウ属のものである。

○狭義の用法
日本では、そのなかでも熱帯および亜熱帯性のいくつかの種がとくに「ハイビスカス」と呼ばれ、南国のイメージをまとった植物として広く親しまれている。園芸用・観賞用としていくつかの種が「ハイビスカス」として流通する。その代表的なものはブッソウゲ(仏桑華、Hibiscus rosa-sinensis)である。

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2017-06-14(Wed)

キキョウ

キキョウ(桔梗、Platycodon grandiflorus)はキキョウ科の多年性草本植物。山野の日当たりの良い所に育つ。日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。万葉集のなかで秋の七草と歌われている「朝貌の花」は本種であると言われている。絶滅危惧種である。

○形態
根は太く、黄白色。高さは40-100cm程度。葉は互生で長卵形、ふちには鋸歯がある。下面はやや白みがかっている。秋の花のイメージが強いが、実際の開花時期は六月中旬の梅雨頃から始まり、夏を通じて初秋の九月頃までである。つぼみの状態では花びら同士が風船のようにぴたりとつながっている。そのため "balloon flower" という英名を持つ。つぼみが徐々に緑から青紫にかわり裂けて星型の花を咲かせる。雌雄同花だが雄性先熟で、雄しべから花粉が出ているが雌しべの柱頭が閉じた雄花期、花粉が失活して柱頭が開き他の花の花粉を待ち受ける雌花期がある。花冠は広鐘形で五裂、径4-5cm、雄しべ・雌しべ・花びらはそれぞれ5本である。なお、園芸品種には白色や桃色の花をつけるものや、鉢植え向きの草丈が低いもの、二重咲きになる品種やつぼみの状態のままほとんど開かないものなどがある。

○利用
・生薬
キキョウの根
キキョウの根はサポニンを多く含むことから生薬(桔梗根という)として利用されている。生薬としては、根が太く、内部が充実し、えぐ味の強いものが良品とされている。去痰、鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱作用があるとされ、消炎排膿薬、鎮咳去痰薬などに使われる。主な産地は韓国、北朝鮮、中国である。桔梗湯(キキョウ+カンゾウ)や銀翹散、十味敗毒湯、防風通聖散、排膿散などの漢方方剤に使われる。

○文化
秋の季語。花の形から「桔梗紋」が生まれた。美濃の山県氏、土岐氏一族は桔梗紋を紋所にしていた事で知られている。明智光秀も土岐氏一族であり、桔梗紋を用いていた。安倍晴明が使用した五芒星を桔梗印と呼び、現在の晴明神社では神紋とされている。

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2017-06-08(Thu)

アヤメ

○解説
アヤメは山野の草地に生える(特に湿地を好むことはない)。葉は直立し高さ40~60cm程度。5月ごろに径8cmほどの紫色の花を1-3個付ける。外花被片(前面に垂れ下がった花びら)には網目模様があるのが特徴で、本種の和名のもとになる。花茎は分岐しない。北海道から九州まで分布する。古くは「あやめ」の名はサトイモ科のショウブを指した語で、現在のアヤメは「はなあやめ」と呼ばれた。

○毒性
毒成分 イリジェニン、イリジン、テクトリジン
毒部位 全草、根茎、樹液
毒症状 皮膚炎、嘔吐、下痢、胃腸炎

○アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方
アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの同定は慣れれば一目瞭然であるが、見分けのつかない向きも多い。堀切菖蒲園には、その見分け方として次の記述の掲示がある(2005年6月現在)。
・アヤメ
花の色:紫、まれに白
葉:主脈不明瞭
花の特徴:網目模様、外側の花びらに黄色い模様がある
適地:かわいた所に育つ
開花期:5月上旬~中旬

・カキツバタ
花の色:青紫のほか紫、白、紋など
葉:主脈細小
花の特徴:網目なし
適地:水中や湿った所に育つ
開花期:5月中旬~下旬

・ハナショウブ
花の色:紫、紫、絞、覆輪など
葉:主脈太い
花の特徴:網目なし、花の色はいろいろある
適地:湿ったところに育つ
開花期:6月上旬~下旬

・外花被片の模様での見分け方
アヤメ:外花被片に網目模様が有る
カキツバタ:外花被片に網目模様無し、外花被片に白い斑紋が有る
ハナショウブ:外花被片に網目模様無し、外花被片に黄色い斑紋が有る

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2017-06-08(Thu)

エノコログサ

エノコログサ(狗尾草、学名: Setaria viridis)は、イネ科エノコログサ属の植物で、1年生草本である。ブラシのように毛の長い穂の形が独特な雑草である。夏から秋にかけてつける花穂が、犬の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ、漢字でも「狗(犬)の尾の草」と表記する。ネコジャラシ(猫じゃらし)の俗称は、花穂を猫の視界で振ると、猫がじゃれつくことから。

○分布
日本全土に分布する。

○特徴
草丈は40-70cmになる。茎は細く、基部は少し地表を這い、節から根を下ろす。夏には茎が立ち上がって伸び、先端に穂をつける。葉は匍匐茎にも花茎にも多数ついており、最大20cm位、イネ科としてはやや幅広く、細長い楕円形、薄く、緑色でつやがない。茎を包む葉鞘と、葉身の境目につく葉舌は退化して、その部分に毛だけが残る。また、よく葉が裏表逆になっている。葉の付け根でねじれて、裏側が上を向くもので、そのような葉では、上を向いた裏側の方が濃い緑でつやがあり、下を向いた表側の方が、裏のような様子になる。花序は円柱形で、一面に花がつき、多数の毛が突き出すので、外見はブラシ状になる。イヌビエなどの穂から出る毛は、小穂を包む鱗片(穎)の先端から伸びる芒であるが、エノコログサの場合、この毛は芒ではなく、小穂の柄から生じる長い突起である。

○小穂の構造
エノコログサの小穂は、果実が熟すると、一個の種子(実際には果実)を鱗片が包んだものに見える。小穂の中には花は一つしかない。しかし、本来は二つの小花があるべきもので、そのうち一つが退化したものと解釈されている。穂の軸から出る、短い柄の先に、普通は一個の小穂がつく。第一包穎は背が低くて横長で、表側の基部を包む。第二包穎は第三穎と共向き合って小花を包んでいる。その内側には護穎と内穎に包まれた花がある。本来は、第三は消失した小花の護穎であったもので、小花の消失とともに内穎もなくなったものである。

○利用
現在は、一般的に食用としては認識されていないが、粟の原種であるので食用に使える。若い葉と花穂は軽く火であぶり、醤油などで味付けしたり(風味はポップコーンに酷似)、天ぷらにしたりして食べられる。ただし、終戦直後大量に食べて中毒を起こした学者がいる。近代以前の農村では、酷い飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。また、猫じゃらしの名の通り、これを用いて猫をじゃらすことができる。

○変異
エノコログサはさまざまな所に生え、そのためもあってか種内変異が多い。
・ハマエノコロ S. v. var. pachystachys (Fr. et Sav.)
海岸に生える型。違いとしては、背が低く、比較的よく地表を這うこと、茎や葉が短く硬いこと、それに、穂が短くほとんど楕円形で、小穂が密で毛が長く、そのために穂の外見がかなり異なる点が挙げられる。ただし、内陸に入ると次第に普通の型に移行する。
・ムラサキエノコロ S. v. f. purpurascens Maxim.
これは特に穂の剛毛が紫に染まるものである。

○エノコログサ属
・エノコログサ属(学名: Setaria)の特徴は、先に述べたような小穂を円錐花序につけるものである。また、小穂のつく枝に刺状の突起をもつ。世界に約100種が知られる。日本にある同属の種は7種ばかりある。
・エノコログサ Setaria viridis P. Beauv.
・アワ Setaria italica Beauv.
エノコログサ最大の変異である。別種として扱われているが、エノコログサを元に作り出されたものと考えられている。エノコログサに比べると、高さは1mを越え、花序の長さは20cmにもなる。また、熟しても果実が簡単にはこぼれず、これは収穫をたやすくしている。かつては日本でも広く栽培された。
・オオエノコロ Setaria x pycnocoma (Steud.) Henrard ex Nakai
アワとエノコログサとの雑種。エノコログサに似るが、穂が一回り大きく、また、エノコログサでは穂の軸の枝に小穂が一つずつつくのに対して、その枝に複数の小穂がついて、円錐花序になる点が異なる。畑地に時折見かけられる。
・アキノエノコログサ Setaria faberi Herrm.
エノコログサに最もよく似ているが、やや毛が多く、穂が細長くて垂れることなどが外見上の相違点である。小穂を見れば、エノコログサでは第二穎が小穂の長さと同じで、小花が隠れるのに対して、この種では第二穎が短く、小花が半分顔を出す。そのため、この両者は別種とされている。
・ザラツキエノコロ Setaria. verticillata (L.) Beauv.
穂の剛毛に細かい逆棘があって、さわると非常にざらつくのが特徴である。群生しているところでは、穂が互いに絡み合っているのが見られる。
・キンエノコロ Setaria glauca L.
やや細い穂を出す。穂は長さ3-10cmで直立し、茎や葉には毛がない。穂からでるブラシ状の毛が金色をしているのが名前の由来である。北半球の温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。
・コツブキンエノコロ Setaria pallide-fusca (Schumch.) Stapf et C. E. Hubb.
キンエノコロに似て、小穂が一回り小さい。北半球の温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。
・イヌアワ Setaria chondrachne (Steud.) Honda
日本の本州から九州の木陰にはえる多年草で、夏から秋にかけてまばらな円錐花序をつける。
・ササキビ Setaria palmifolia (Koenig) Stapf
木陰にはえる多年草で、葉が幅広く、多数の縦じわがあって、ちょっとシュロの葉を思わせる。九州以南にあり、広くアジアの熱帯域に分布する。やはりまばらな円錐花序をつける。

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2017-06-08(Thu)

ビワ

ビワ(枇杷、学名: Eriobotrya japonica)は、バラ科の常緑高木。原産は中国南西部で日本にも野生種があったという説があり、多くは果樹として栽培され、高さはおよそ10メートルほどになる。葉は濃い緑色で大きく、長い楕円形をしており、表面にはつやがあり、裏には産毛がある。そして、その大きな葉陰に楽器の琵琶に似た形をした一口大の多くの甘い実がなり、黄橙色に熟す。実の中に大きな種を一つ持つ。語源は、葉の形や実の形が楽器の琵琶に似ているからとされる。中国語でも「枇杷」(ピン音: pipa; 粤?: pei4 paa4)と表記する他、「蘆橘」(ピン音: lu ju; 粤?: lou4 gwat1)とも呼ばれ、英語の「loquat」は後者の広東語発音に由来する。日本には古代に持ち込まれたと考えられており、主に本州南部や四国や九州に分布する。またインドなどにも広がり、ビワを用いた様々な療法が生まれた。中国系移民がハワイに持ち込んだ他、日本からイスラエルやブラジルに広まった。トルコやレバノン・ギリシャ・イタリア南部・スペイン・フランス南・アフリカ北部などでも栽培される。日本においては梅雨のころに実がなるため、「枇杷」及び「枇杷の実」は仲夏(芒種〔6月6日頃〕から小暑の前日〔7月6日頃〕まで)の季語とされている。また冬には、枝先にやや黄色味を帯びた白い五弁の小花を咲かせる。目立たない花ではあるけれどもかぐわしい香りを持ち、「枇杷の花」や「花枇杷」あるいは「枇杷咲く」などは初冬(はつふゆ:立冬〔11月8ごろ〕から大雪の前日〔12月7日ごろ〕まで)の季語となっている。
○植物学的特徴
葉は互生し、葉柄は短い。葉の形は20cm前後の長楕円形で厚くて堅く、表面が葉脈ごとに波打つ。縁には波状の鋸歯がある。枝葉は春・夏・秋と年に3度伸長する。花芽は主に春枝の先端に着く。花芽は純正花芽。花期は11?2月、白い地味な花をつける。花弁は5枚。葯には毛が密に生えている。自家受粉が可能で、初夏に卵形をした黄橙色の実をつける。果実は花托が肥厚した偽果で、全体が薄い産毛に覆われている。長崎県、千葉県、鹿児島県などの温暖な地域での栽培が多いものの若干の耐寒性を持ち、寒冷地でも冬期の最低気温-10℃程度であれば生育・結実可能である。露地成熟は5月?6月。

○栽培
栽培種を蒔くと簡単に発芽するので、観葉植物として楽しむことが出来る。生長が速いので剪定で小型に育てると良い。実生苗の結実には7~8年の歳月を要する。自家結実性のため、他品種を混植する必要はない。殖やし方は実生、接木であるが挿し木も可能。剪定は9月。露地栽培の場合、摘房・摘蕾を10月、開花は11月?2月、摘果を3月下旬?4月上旬、袋かけを摘果と同時に行う。果実が大きくなるとモモチョッキリの食害を受ける。品種江戸時代末期に日本に導入され、明治時代から、茂木(もぎ)や田中などの果樹としての品種がいくつかある。現在ではその他に大房、瑞穂、クイーン長崎(福原)、白茂木、麗月、陽玉、涼風、長生早生、室戸早生、森尾早生、長崎早生、楠、なつたよりなど多くの品種がある。中国びわとして冠玉や大五星などがある。2006年、種なしびわである希房が品種登録された。古代に渡来し野生化した物と考えられる自生木もあるが、種が大きく果肉が薄いため果樹としての価値はほとんど無い。産地日本では全国でビワの実が3,240トン(2012年産、農林水産省統計)収穫され、長崎県、千葉県(南房総市)、愛媛県、鹿児島県など温暖な気候の土地で栽培されている。特に長崎県は、全国の3分の1近くを産する日本一の産地となっている。近年は食の多様化や種子を取り出すなど食べにくさに加え、農家の高齢化等もあり、収穫量は2003年は9,240t、2008年は7,110t、そして2012年は3,240tと減り気味である。近年ではビニールハウスによる促成栽培も行われている。
○利用
食用果肉は甘く、生食されるほかに缶詰などに加工されるが、種子が大きく廃棄率が30%以上である。生食する場合の可食率は65?70%でバナナとほぼ同等である。ゼリーなどの菓子、ジャム等にも加工される。果実は咳、嘔吐、喉の渇きなどに対して効能を発揮する。薬用「大薬王樹」と呼ばれ、民間療薬として親しまれてもいる。なお、以下の利用方法・治療方法は特記しない場合、過去の歴史的な治療法であり、科学的に効果が証明されたものであることを示すものではない。葉はアミグダリンやクエン酸などを多く含み、乾燥させてビワ茶とされる他、直接患部に貼るなど生薬(枇杷葉(びわよう))として用いられる。葉の上にお灸を乗せる(温圧療法)とアミグダリンの鎮痛作用により神経痛に効果があるとされる。ただし、アミグダリンは胃腸で分解されると猛毒である青酸を発生する。そのため、葉などアミグダリンが多く含まれる部位を経口摂取する際は、取り扱いを間違えると健康を害し、最悪の場合は命を落とす危険性がある。果実酒氷砂糖とホワイトリカーだけでも作れるが、ビワは酸味が非常に少ないので、皮むきレモンの輪切りを加えて漬け込むとよい。また、果肉を用いずにビワの種子のみを使ったビワ種酒は、杏仁に共通する芳香を持ち、通の間で好まれる。木材乾燥させると非常に硬い上に粘りが強く、昔から杖の材料として利用されていた。現在でも上記の薬用効果にあやかり、乾燥させて磨いた物を縁起物の『長寿杖』と称して利用されている。激しく打ち合わせても折れることがないことから、剣道・剣術用の高級な木刀として利用されている。
○ビワにまつわる言葉等
桃栗三年柿八年枇杷(は早くて)十三年

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2017-06-05(Mon)

ナス

ナス(茄子、茄、ナスビ、学名:Solanum melongena)はナス科ナス属の植物。また、その果実のこと。
○概要
原産地はインドの東部が有力である。その後、ビルマを経由して中国へ渡ったと考えられている。中国では茄もしくは茄子の名で広く栽培され、日本でも1000年以上に渡り栽培されている。温帯では一年生植物であるが、熱帯では多年生植物となる。平城京の長屋王邸宅跡から出土した木簡に『進物 加須津毛瓜 加須津韓奈須比』との記述があり、高位の者への進物にナスの粕漬けが使われていたことが判明した。また、正倉院文書には「天平六年(734年)茄子十一斛、直一貫三百五十六文」をはじめとして多数の「茄子」の記述がみられる。これらのことから、日本では奈良時代すでにナスの栽培が行われていたことがわかる。実の味から「中酸実」(なかすみ)が語源とされる。夏に実がなるので「夏実」(なつみ)と読んだが、それが訛って「なすび」(奈須比)と呼ばれたとする説もある。室町時代頃に宮廷の女官が女房言葉として「なす」と呼び、その呼称が定着した。元は貴重な野菜であったが、江戸時代頃より広く栽培されるようになり、以降日本人にとってなじみのある庶民的な野菜となった。葉とヘタには棘があり、葉には毛が生えている。世界の各地で独自の品種が育てられている。賀茂茄子などの一部、例外もあるが、日本においては南方ほど長実または大長実で、北方ほど小実品種となる。本州の中間地では中間的な中長品種が栽培されてきた。これは寒い地域では栽培期間が短く大きな実を収穫する事が難しい上に、冬季の保存食として小さい実のほうが漬物に加工しやすいからである。しかし食文化の均一化やF1品種の登場により野菜炒めや焼き茄子など、さまざまな料理に利用しやすい中長品種が全国的に流通している。日本で栽培される栽培品種のほとんどは果皮が紫色又は黒紫色である。しかしヨーロッパやアメリカ等では白・黄緑色・明るい紫、さらに縞模様の品種も広く栽培される。果肉は密度が低くスポンジ状である。ヘタの部分には鋭いトゲが生えている場合がある。新鮮な物ほど鋭く、鮮度を見分ける方法の一つとなるが、触った際にトゲが刺さり怪我をすることがある。収穫の作業性向上や実に傷がつくという理由から棘の無い品種も開発されている。品種によって様々な食べ方がある[5]。栄養的にはさほど見るべきものはないが、東洋医学では体温を下げる効果があるとされている。和漢三才図会ではヘタにしゃっくり止めの効果があるとされるが、俗信の域を出ない。また皮の色素ナスニンは抗酸化作用があるアントシアニンの一種である。なかには、「赤ナス」のような観賞用として生け花などにも利用されているもの(熊本県などで「赤ナス」の商品名で栽培されている食用の品種とは別物、また赤茄子はトマトを表す)もある。赤ナスは食用のナスの台木としても用いられる(観賞用の赤ナスは味などにおいて食用には適さないとされる)。

○栽培
基本は「三本仕立て」である。一番花のすぐ下2つのわき芽を残し、他のわき芽はすべて摘み取る。原産がモンスーン気候地帯であることから、蒸し暑い日本の夏を好む。乾燥を嫌うため、藁やビニールなどでマルチングをするとよい。「ナスの葉は座布団にせよ」との格言があるほどで、開花するまでに枝葉を充分に発達させる。畝幅は広めに取り、根張りをよくするために肥料は薄く幅広くまんべんなく施す。追肥を充分に与える。石ナスと呼ばれる食用に適さない硬い実が着く事がある。石ナスの原因は水不足や肥料不足などとされるが主な原因は受粉(受精)不良であり、さらに詳しくは受精後に分泌される植物ホルモンの不足である。受粉不良の原因は水不足や肥料不足などによる樹勢の低下である。また温室・ハウス栽培では樹勢が十分であっても低温や高温によって花粉の受精能力が低下しやすく、この場合は人工的に植物ホルモンを与えてやれば解決する。7月末頃になると、病虫害や自然な傷み、さらに枝の老化によって実付きが悪くなる。そこで、お盆頃に思い切って地面から高さの約2分の1くらいの高さに切返し剪定(更新剪定)を行う。切り返し剪定と同時に根元にスコップを刺して根を切断することもある。これを行うことによって9月には再び新芽が出てきて、美味しい「秋ナス」が収穫できる。冬作物の作付けの為に早めに栽培を終了する場合は切り返し剪定を行わない事もある。また、ナスは連作障害を起こしやすい野菜である。ナスを連作した場合のみならず、トマト、ジャガイモ、ピーマン、シシトウなど同じナス科の野菜とも相性が悪く、何も処置を施さない場合、5-7年以上間を空けないと障害が起きやすいといわれている。皮の色は紫外線を浴びる事で発色する。かつて温室やハウス栽培では被覆資材が紫外線を吸収してしまい実に色が着かない問題が発生したことがある。現在では紫外線を透過する資材が利用されている。紫外線を通さないシールを貼り付ける事で実に模様を描くことができる。

○品種
品種は日本で概ね180種類を超える。世界では1,000種類もあると言われている。

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2017-06-05(Mon)

ハナショウブ

○解説
ハナショウブはノハナショウブ(学名I. ensata var. spontanea)の園芸種である。6月ごろに花を咲かせる。花の色は、白、ピンク、紫、青、黄など多数あり、絞りや覆輪などとの組み合わせを含めると5,000種類あるといわれている。大別すると、江戸系、伊勢系、肥後系の3系統に分類でき、古典園芸植物でもあるが、昨今の改良で系統色が薄まっている。他にも原種の特徴を強く残す山形県長井市で伝えられてきた長井古種や、海外、特にアメリカでも育種が進んでいる外国系がある。近年の考察では、おそらく東北地方でノハナショウブの色変わり種が選抜され、戦国時代か江戸時代はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが江戸に持ち込まれ、後の三系統につながった。長井古種は、江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。一般的にショウブというと、ハナショウブを指すことが多い。しかし、菖蒲湯に使われるショウブは、ショウブ科またはサトイモ科に分類される別種の植物である。

○伝統品種群の系統
江戸系:江戸ではハナショウブの栽培が盛んで、江戸中期頃に初のハナショウブ園が葛飾掘切に開かれ、浮世絵にも描かれた名所となった。ここで特筆されるのは、旗本松平定朝(菖翁)である。60年間にわたり300近い品種を作出し名著「花菖培養録」を残し、ハナショウブ栽培の歴史は菖翁以前と以後で区切られる。こうして江戸で完成された品種群が日本の栽培品種の基礎となった。
肥後系:肥後熊本藩主細川斉護が、藩士を菖翁のところに弟子入りさせ、門外不出を条件に譲り受けたもので、「肥後六花」の一つである。満月会によって現在まで栽培・改良が続けられている。菖翁との約束であった門外不出という会則を厳守してきたが、大正時代にこれを売りに出した会員がおり、瞬く間に中心的な存在となった。
伊勢系:伊勢松阪の紀州藩士吉井定五郎により独自に品種改良されたという品種群で、「伊勢三品」の一つである。昭和27年(1952年)に「イセショウブ」の名称で三重県指定天然記念物となり、全国に知られるようになった。
長井古種:山形県長井市で栽培されてきた品種群である。同市のあやめ公園は明治43年(1910年)に開園し、市民の憩いの場であった。昭和37年(1962年)、来訪した中央の園芸家によって三系統いずれにも属さない品種群が確認され、長井古種と命名されたことから知られるようになった。江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、少なくとも江戸中期以前の原種に近いものと評価されている。長井古種に属する品種のうち13品種は長井市指定天然記念物である。

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2017-05-23(Tue)

ヒルガオ

ヒルガオ(昼顔、学名Calystegia japonica、シノニムCalystegia pubescens他)は、ヒルガオ科の植物。アサガオ同様朝開花するが昼になっても花がしぼまないことからこの名がある。つる性の多年草で、地上部は毎年枯れる。春から蔓が伸び始め、夏にかけて道ばたなどに繁茂する。夏に薄いピンク色で直径5~6cmの花を咲かせる。花の形は漏斗形。苞葉が萼を包み込むので、帰化植物のセイヨウヒルガオ(西洋昼顔、学名Convolvulus arvensis)と区別できる。アサガオと違って鑑賞用に栽培されることは、殆ど無い。また、結実することはまれであるが、地下茎で増え、一度増えると駆除が難しいため、大半は雑草として扱われる。黄色のヒルガオは無い。ヒルガオの花言葉は「絆」。根で組み合っているので、「絆」という花言葉になったと思われる。

○コヒルガオ
ヒルガオの近縁植物としてコヒルガオ(小昼顔、学名Calystegia hederacea)がある。ヒルガオと似ているが、花弁が直径3~4cmとヒルガオより小さいこと、花柄に縮れたひれがあること、葉の形などの差異がある。大抵は雑草として扱われるが、八重咲の園芸種が栽培されることもある。

○ハマヒルガオ
ハマヒルガオ(浜昼顔、学名Calystegia soldanella)はヒルガオ科ヒルガオ属。海岸の砂地に群生し、日本全土、および世界に広く分布する。つる性多年草。茎は蔓性となり、地下茎は砂中をはう。葉は長柄があり互生し、緑色のハート型ないし腎臓形で、厚く、光沢がある。5~6月には淡紅色で直径4~5cmのヒルガオに似た花を開く。果実は球形で、種子は黒い。


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2017-05-11(Thu)

シャジクソウ属

シャジクソウ属(トリフォリウム属)はマメ亜科の属の一つ。英語ではクローバー(Clover)と総称される[1]。約260種が全世界に分布する。シャジクソウ属の多様性は北半球において最も高いが、南アメリカやアフリカにも多くの種が分布している。

○概説
茎は地を這うように長くのび、葉は三小葉。希に四、五および七小葉のものがある。花期は5-9月。高さ5-20cmほどの花柄の先に長さ1cmほどの小さな蝶形の花を密集して咲かせ球状の花序をつくる。花の色は白、黄色、ピンク、紅色など。一年草、二年草、または多年草である。属名はラテン語の「tres」(三)と「folium」(葉)に由来し、三つの小葉を持つことを指している。和名の「ツメクサ」の由来は、江戸時代にオランダから輸入されたガラス器の梱包の際に本草が詰め物として使われていたことから「詰草」と呼ばれるようになった。重要な蜜源植物であり、クローバーの蜂蜜は世界で最も生産量が多い。葉は茹でて食用にすることもできる。花穂は強壮剤、痛風の体質改善薬などとして用いられていた。解熱・鎮痛効果もあると言われている。アイルランドでは三つ葉のクローバーなどがシャムロックと呼ばれ、国の象徴として用いられており、例えばアイルランドの国営航空であるエアリンガスは尾翼にシャムロックのマークを付けているが、厳密にはシャムロックはクローバーのみを指すものではない。また、あるジンクスに「五つ葉のクローバーは金銭面の幸運」「二つ葉のクローバーを見つけると不幸が訪れる」というものがある。

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2017-04-03(Mon)

スギナ

スギナ(杉菜、学名:Equisetum arvense)は、シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属の植物の1種。日本に生育するトクサ類では最も小柄である。浅い地下に地下茎を伸ばしてよく繁茂する。生育には湿気の多い土壌が適しているが、畑地にも生え、難防除雑草である。その栄養茎をスギナ、胞子茎をツクシ(土筆)と呼び、ツクシの方は食用とされる。根が深いことから「地獄草」の別名を持つ。

○ツクシ
春に地下茎からツクシという胞子茎(または胞子穂、胞子体)を出し、胞子を放出する。薄茶色で、「袴(はかま)」と呼ばれる茶色で輪状の葉が茎を取り巻いている。丈は10-15cm程度である。ツクシ成長後に、それとは全く外見の異なる栄養茎を伸ばす。栄養茎は茎と葉からなり、光合成を行う。鮮やかな緑色で丈は10 - 40cm程度。主軸の節ごとに関節のある緑色の棒状の葉を輪生させる。上の節ほどその葉が短いのが、全体を見るとスギの樹形に似て見える。なお、ツクシの穂を放置すると、緑色を帯びたほこりの様なものがたくさん出て来る。これが、胞子である。顕微鏡下で見ると、胞子は球形で、2本の紐(4本に見えるが実際は2本)が1ヵ所から四方に伸びている。これを弾糸という。この弾糸は湿ると胞子に巻き付き、乾燥すると伸びる。この動きによって胞子の散布に預かる。顕微鏡下で観察しながら、そっと息を吹きかけると、瞬時にその形が変化するのをみることが出来る。また、「ツクシ」は春の季語である。

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2017-03-27(Mon)

アセビ

アセビ(馬酔木、学名: Pieris japonica subsp. japonica)は、ツツジ科アセビ属の常緑低木。日本に自生し、観賞用に植栽もされる。別名あしび、あせぼ。馬酔木の名は、「馬」が葉を食べれば毒に当たり、「酔」うが如くにふらつくようになる「木」という所から付いた名前であるとされる。

○形態・生態
樹高は1.5mから4mほどである。葉は楕円形で深緑、表面につやがあり、枝先に束生する。早春になると枝先に10cmほどの複総状の花序を垂らし、多くの白くつぼ状の花をつける。雄蕊は10本で、2個の角を持ち毛深い。園芸品種にピンクの花を付けるアケボノアセビなどがある。果実は扇球状になる。

○分布
日本の本州、四国、九州の山地に自生する。やや乾燥した環境を好む。多くの草食哺乳類は食べるのを避け、食べ残される。そのため、草食動物の多い地域では、この木が目立って多くなることがある。たとえば、奈良公園では、シカが他の木を食べ、この木を食べないため、アセビが相対的に多くなっている。逆に、アセビが不自然なほど多い地域は、草食獣による食害が多いことを疑うこともできる。

○人間との関わり
アセビは庭園樹、公園樹として好んで植栽されるほか、花もの盆栽等としても利用される。有毒植物であり、葉を煎じて殺虫剤に利用される。有毒成分はグラヤノトキシンI(旧名アセボトキシン)、アセボプルプリン、アセボイン、ジテルペン、アンドロメドトキシン。毒部位は、全株、葉、樹皮、茎、花。毒症状は、血圧低下、腹痛、下痢、嘔吐、呼吸麻痺、神経麻痺。近年では、殺虫効果を自然農薬として利用する試みがなされている。

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2017-01-02(Mon)

キャベツ

キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草。野菜として広く利用され、栽培上は一年生植物として扱われる。名前は英語に由来するが、さらにその語源はフランス語のcaboche(頭)から。別名の甘藍(かんらん)は中国語名の甘藍から、玉菜(たまな)は結球する性質に由来する。

○特徴
キャベツは結球(丸く玉になる性質)のイメージが強いが、品種によって結球するものとしないものがある。また、同じ原種に由来するケール、カリフラワー、カイラン、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリーなどと同様に長い品種改良の過程を経ているため、多くの品種がある。ビタミンC、ビタミンUを豊富に含む。キャベツが属するアブラナ科の野菜にはがん予防効果があると言われており、アブラナ科のイソチオシアネートの効果とも言われている。

・結球
キャベツに限らず、結球する野菜は葉の成長ホルモン(オーキシン)が裏側に偏ることでその形態をとる。一般に流通しているグリーンキャベツの場合、外葉が18-21枚になってから結球が開始し、葉序に従い螺旋状に茎頂を包む。結球時、茎はほとんど伸長せず、短縮茎となる。断面を見ると、中心に近い葉ほど内側を向いているが、これは外側が先に育ち、内側はその後から出葉するため次第に混んでくるためで、消費者が店頭でキャベツを選ぶ際に、大きさではなく重さで選ぶのはこのため。

○来歴
・起源
古代よりイベリア人が利用していた原種がケルト人に伝わり、ヨーロッパ中に広まったとされるが、当時は野菜より薬草として用いられ、古代ギリシャ・古代ローマでは胃腸の調子を整える健康食として食されていた。アテネのエウデモスが書いた『牧場論』に最初のキャベツの記述が見られる。初期の栽培品種にはブロッコリーのような茎があったが、ローマ時代に改良が進み、茎はなくなり大型化していった。その後、9世紀頃に野菜としての栽培が広まった。現在日本で普及しているものは、12世紀から13世紀のイタリアで品種改良されたものが起源とみられる。18世紀にアメリカ合衆国へ渡ると、より肉厚で柔らかく改良が進んだ。

・日本での普及
幕末の1850年代に伝わり、明治にかけて外国人居留地用として栽培されたが、一般の日本人が口にすることはなかった。1874年(明治7年)、内務省勧業寮がのちの三田育種場で欧米から取り寄せた種子で栽培試験を行ったのが、本格的な生産の始まりとされる。試験地は北海道に移され、北海道開拓使が発行した「西洋蔬菜栽培法」に、キャベイジの名で記載された。 1893年(明治26年)には外国人避暑客のために、長野県北佐久郡軽井沢町で栽培が始じまった。 また、1945年(昭和20年)頃まで、一般的に「かんらん」と呼ばれていた。 大正時代に品種改良が進められ、寒冷地に適することから、栽培は北海道のほか、東北地方や長野県で拡大したが、洋食需要が限られた戦前にはそれほど普及しなかった。戦後、食糧増産と食の洋風化が相まって生産量は急激に増加し、1980年代にはダイコンと並ぶ生産量となった。これ以前にも、江戸時代前期にオランダから持ち込まれ、一部で栽培されていたとみられる。貝原益軒が1709年(宝永6年)に出版した『大和本草』にはオランダナ(紅夷菘)として「葉は大きくて艶がなく白っぽい。花はダイコンに似る。おいしい。3年で花が咲き、カブの仲間である」と紹介されている。しかし食用として広まることはなく、むしろ観賞用としてハボタンを生むこととなった。また、ハボタンがケールの品種であることから、渡来したのはキャベツではなくケールだったと考えられる。

○病虫害
モンシロチョウ(青虫)などの格好のエサになるため、食害(食痕)が問題となる。無農薬栽培の手法として、キャベツの畝毎にチョウ類の進入を許さないようネットを張る手法も取られるが、手間が掛かることもあり、販売価は通常のキャベツの倍近くになる。家庭菜園の場合は、秋蒔き栽培にすると農薬の使用量を抑えやすい。

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2016-12-17(Sat)

キュウリ

キュウリ(Cucumis sativus L.)とはウリ科キュウリ属のつる性一年草、およびその果実のことである。かつては熟した実を食用とした事もあったが、甘みが薄いためにあまり好まれず、現在では未熟な実を食用とするようになった。インド北部、ヒマラヤ山麓原産。日本では平安時代から栽培される。胡瓜の「胡」という字は、シルクロードを渡って来たことを意味している。「キュウリ」の呼称は、漢字で「木瓜」または「黄瓜」(きうり、現代中国語でも「黄瓜」)と書いていたことに由来する。上記の通り現代では未熟な実を食べる事からあまり知られていないが、熟した実は黄色くなる。今と異なり古い時代はこれを食べていた。尚、現代では「木瓜」はパパイアを指す。

○生態
温暖な気候を好むつる性植物。栽培されているキュウリのうち、3分の2は生で食することができる。種子は暗発芽種子である。雌雄異花ではあるが、単為結果を行うため雄花が咲かなくとも結実する。主に黄色く甘い香りのする花を咲かせるが、生育ステージや品種、温度条件により雄花と雌花の比率が異なる。概ね、雄花と雌花がそれぞれ対になる形で花を咲かせてゆく。葉は鋸歯状で大きく、果実を直射日光から防御する日よけとしての役割を持つ。長い円形の果実は生長が非常に早く、50cmにまで達する事もある。熟すと苦味が出るため、その前に収穫して食べる。日本では収穫作業が一日に2-3回行われる(これには、日本市場のキュウリの規格が小果であることも一因である)。夏は露地栽培、秋から初春にかけては、ハウスでの栽培がメインとなり、気温によっては暖房を入れて栽培することもある。しかし、2003年から2008年の原油価格の価格高騰により、暖房をかけてまでの栽培を見送る農家も少なくない。果実色は濃緑が一般的だが、淡緑や白のものもある。根の酸素要求量が大きく、過湿により土壌の気相が小さい等、悪条件下では根が土壌上部に集中する。生産高は2004年、2005年は群馬県が第一位であったが、2006年からは宮崎県が第一位である。

○歴史
キュウリは古くから食用の野菜として栽培されている。栄養価は非常に低いが、歯ごたえのある食感とすっきりとした味わいがあり、そして水分を多く含むことから暑い地方では水分補給用として珍重されてきた。紀元前4000年前にメソポタミアで盛んに栽培されており、インド、ギリシア、エジプトなどでも栽培された。その後、6世紀に中国、9世紀にフランス、14世紀にイングランド、16世紀にドイツと伝播していった。アメリカには15世紀末コロンブスがハイチに持ちこんだのを端緒に普及していった。キュウリを好物とした歴史上の有名人としてローマ皇帝ティベリウスがいる。中国ではかつて、ビルマ経由で伝来した水分の少ない南伝種が普及し、シルクロード経由の瑞々しい北伝種の伝来まで、この南伝種を完熟させてから食べるのが一般的であった。のちに南伝種は漬物や酢の物に、北伝種は生食に使い分けられることになる。南伝種の伝来後、日本でも江戸時代までは主に完熟させてから食べていたため、黄瓜と呼ばれるようになった。日本では1500年ほどの栽培の歴史を持つが、完熟した後のキュウリは苦味が強くなり、徳川光圀は「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず」、貝原益軒は「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり」と、はっきり不味いと書いているように、江戸時代末期まで人気がある野菜ではなかった。これには、戦国期の医学者曲直瀬道三の『宣禁本草』などに書かれたキュウリの有毒性に関する記述の影響があると見られている。安土桃山時代以前にはキュウリに禁忌は存在せず、平安後期の往来物『新猿楽記』に登場する美食趣味の婦人「七の御許」が列挙した好物の一つに「胡瓜黄」が入っており、イエズス会宣教師のルイス・フロイスは著書『日欧文化比較』(1585)で「日本人はすべての果物は未熟のまま食べ、胡瓜だけはすっかり黄色になった、熟したものを食べる」と分析している。幕末、キュウリの産地だった砂村(現在の江東区)で、キュウリの品種改良が行われ、成長が早く、歯ごたえがよく、味も良いキュウリが出来て一気に人気となった。

○栽培
ツルを支柱にしっかり固定し、這わせる方法と地面を這わせる栽培法がある。ともに10度以下の低温には弱く、また25度以上の高温にも弱い。ウリ科の植物同士の連作にも弱い。最低でも3年をあけ植えるか接ぎ木苗を使用。根が浅いため乾燥に弱く、高温乾燥が続くとあっという間にうどん粉病などの病気にかかり枯れる。種まきの時期をずらしながら栽培することによって秋まで収穫出来る。ミナミキイロアザミウマの媒介するウイルスで「キュウリ黄化えそ病」にかかり株が枯れ収量が減る被害が報告されているが、岐阜県農業技術センターにより赤色の防虫ネットを導入した予防策の研究開発が進められている。

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2016-12-16(Fri)

エンドウ

エンドウ(豌豆、学名:Pisum sativum L.)は、マメ科の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、エンドウマメとも。別名にノラマメ、グリーンピース(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、サヤエンドウ(莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)。日本での栽培種には、ウスイエンドウ(うすい豆)、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウ、がある。古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆で、原種は近東地方に今日でも野生している P. humile Boiss. et Noo. と推察されている。もともとは麦類の間で雑草として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、根粒菌による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、カラスノエンドウもエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では雑草とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、中国に伝わったのは5世紀、日本へは9-10世紀には伝わった。 また、メンデルが実験材料としたことでも知られている。

○特徴
さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ) P. s. ssp. arvense Poir. と軟莢種(なんきょうしゅ)P. s. ssp.hortense Asch. がある。硬莢種はその名のとおり莢(さや)が固く、主として完熟して乾燥した豆を収穫して利用する。花は紅色である。軟莢種は莢が柔らかく、未熟な莢をサヤエンドウとして利用したり、成長を終えて乾燥前の生の豆をグリーンピースとして利用する。花は白いものが多い。スナップエンドウは軟莢種の中でも豆が大きく成長しても莢が柔らかく、豆と莢の両方を野菜として利用できる品種である。

原産地が冬に雨が多い地中海性気候の近東地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する。連作に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる。また、原産地が土壌にカルシウムなどが多い乾燥地帯であることから想像できるように、酸性土壌にも弱い。

発芽に際しては同じマメ科のダイズのように胚軸が伸張して地上で子葉を双葉として展開するのではなく、上胚軸だけが伸張して地上に本葉だけを展開し、子葉は地中に残る。

○食品として
硬莢種は古くから乾燥種実として利用されており、日本ではアオエンドウは煎り豆、煮豆、餡(鶯餡)などに加工され、アカエンドウはみつまめやゆで豆として利用される。ヨーロッパでは煮込んでスープなどとして利用されてきた。しかし、今日、世界中でもっとも大量に消費されているのは乾燥していない未熟の莢や種実を野菜として利用する軟莢種である。東アジアでは未熟な莢を利用するサヤエンドウとして、インドから西では完熟直前の種実を利用するグリーンピースとして、主に消費されている。両者の性質を兼ね備えたのがスナップエンドウで、グリーンピースと同様に種実が完熟寸前まで大きく成長したものを収穫するが、莢もサヤエンドウと同様にやわらかく、果実全体が食べられる。2004年には、サッポロビールによりエンドウのタンパクを用いた第三のビールが開発され、新たな食品を生み出す素材として注目を浴びた。種実以外の利用もあり、若い苗や蔓の先の柔らかい茎葉も野菜として利用される。中国ではこれを豆苗(トウミョウ)と呼ぶ。


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2016-03-03(Thu)

ポインセチア

ポインセチア(英名poinsettia、学名 Euphorbia pulcherrima)はトウダイグサ科トウダイグサ属の植物。常緑性低木。標準和名はショウジョウボクであるが、記事名は知名度の高いこの名を取った。日本では11月から12月ごろに茎の上にある葉が赤や桃色や乳白色に美しく色付く。クリスマスが近くなると花屋に鉢物が出回ることから「クリスマスフラワー」とも呼ばれる。そのため日本では仲冬(大雪〔12月8日頃〕から小寒の前日〔1月7日頃〕まで)の季語とされている。
○特徴
葉は薄く、楕円形。花はいわゆる杯状花序である。その下に着く葉の形の苞葉が赤く染まるのが鑑賞の対象となる。その赤さはキリストの血の色に例えられる。原産はメキシコと中央アメリカ。原産国とされるメキシコ合衆国では、「ノーチェ・ブエナ(聖夜)」と呼ばれる。メキシコの伝説がアメリカ合衆国の初代メキシコ公使であったJ・R・ポインセットの知れるところになり、また真冬に花を咲かせることから、アメリカに伝わり、彼の名前がつけられた。日本には明治時代に来た。和名はショウジョウボク(猩々木)。大酒飲みの赤い顔が特徴の、伝説上の動物である猩々に似ていることから名付けられたという。観葉植物として、クリスマスの時期にあわせて短日処理をして、紅葉させて緑色の葉色とのコントラストを楽しむ。ただし0℃を下回るような場所に放置すると葉が落ちてしまうので、クリスマスの時期の管理には注意が必要である。増やし方は、水を張った容器や、土に挿し木をすれば発根する(水に挿す場合は、水に挿す前に切り口から出る乳液状の樹液を拭き取っておく。時期により植物の活性が違うので活発な暖かい時期に行う)。園芸品種が近年多様化しており、従来の紅色に加えて、乳白色、淡い黄緑、ピンク、斑入りなどのバリエーションが楽しめる。強剪定にも耐える。一般に鉢植えの植物というイメージが強いが、宮崎県宮崎市堀切峠の沿道には5万本以上植えられており、12月の開花時期には日南海岸の展望と合わせて名所となっている。小さな花が数個固まって咲いているため、1つの花のように見える。

○類似種
よく似たものにショウジョウソウがある。全体によく似ているが草であり、幹は木質化しない。また、包葉も全部は色づかないのが普通である。日本では時に帰化植物としても見られる。

○毒性
全草にフォルボールという有毒成分が含まれ、皮膚炎・水疱などを引き起こす。致死的な毒ではないが、1919年にハワイで子供がポインセチアを食べて死亡した例が報告されている。また、発がんプロモーション作用があることもわかっている。

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2016-03-03(Thu)

サクラソウ

サクラソウ(桜草、学名:Primula sieboldii)はサクラソウ科サクラソウ属の多年草。日本のサクラソウ類の代表で、日本では北海道南部、本州、九州の高原や原野に分布し、朝鮮半島から中国東北部へかけても分布するが、野生の群落をみることはまれになっている。また埼玉県と大阪府の県(府)花に指定されている。江戸時代に育種が進み、数百に及ぶ品種が作られた古典園芸植物でもある。2005(平成17)年時点では297品種を後述の「さくらそう会」が認定しているが、この中には明治以降の作出品種も含まれる。ニホンサクラソウ(日本桜草)ともいう。 また、サクラソウ属植物は世界中に約400種あり、花の形などに極端な違いがないことから、「サクラソウ」という語を広義的、総称的に使うことがある。したがって他のサクラソウ属植物も「サクラソウ」と俗称されることがあり注意を要する。園芸店でよく「サクラソウ」として売られている植物の中には西洋サクラソウ(P. polyanthus)、オトメザクラ(P. malacoides プリムラ・マラコイデス)、トキワザクラ(P. obconica プリムラ・オブコニカ)、などがあり、本種が売られることは少ない。

○特徴
自生地では林間の湿性地や原野の草間に生え、ときに群生する。地中に根茎があり、春に発芽して5~6葉を根生し、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の花をつける。葉柄は長く、葉は楕円形でしわが多く、縁に浅い切れ込みがあり、葉や茎に白い軟毛が生える。花は直径2~3cmほどで、花弁が5個に深く裂け、さらに各弁が半分近く裂ける。淡紅色でまれに白花もある。花後、球形の蒴果を結ぶ。新しい根茎は地際にでき、梅雨明けの頃、葉が枯れて休眠する。夏の暑さと乾燥には弱いが、日本の気候風土に合っており、花は美しく清楚である。

○栽培の歴史
江戸時代の中ごろから、荒川の原野に野生するサクラソウから本格的な栽培が始まり、種子まきを繰り返すうちに、白、桃、紅、紫、絞りなどの色変わりや、大小さまざまな花形の変わり品が生まれ、名称が付けられた。やがて江戸時代後半になると品種数も非常に増え、文化元年(1804年)から新花を持ち寄り品評することが始まった。栽培者は旗本や御家人など武士階級が多く、「連」と呼ばれる2~3のグループが成立し、新品種の作出を競い合った。文化から天保(1804年~1844年)にかけてがもっとも盛んな時代であった。熱心な女性の愛好家もいて、寒天を流し固めた重箱に一品種ずつ挿し並べて鑑賞したという文献もある。幕末には各地に広まり、文久2年(1866年)にはサクラソウとしては現存最古の番付が発行されている。現在栽培される約300品種のうち、その半数が江戸時代から株分けで伝えられたもので、その花は多様な花型と繊細な花色が特徴で、他の多くの日本の伝統的な園芸植物と共通している。品種ごとに鉢植えで育て、花時には「花壇」と呼ばれる屋根付きの五段構造の展示台に配色よく飾る。鉢は「孫半土(まごはんど)」という、本来食品容器として作られた瀬戸焼の陶器が使われた。これはサクラソウのデリケートな花色をよく引き立てる。愛好者層が武士中心であったので、明治維新前後には衰退の危機にも見舞われたが、やがて愛好者も増え、新花の作出も再び盛んになった。欧米では植物としてのサクラソウの存在そのものは19世紀から知られ、日本から渡った園芸品種もわずかに栽培されていたが、平成2年(1990年)頃からようやく園芸文化としてのサクラソウが紹介され始めた。平成4年(1992年)にはアメリカで国際プリムラシンポジウムが開催され、世界中からサクラソウ属植物の愛好家、研究者が集まったが、この際に初めて海外に日本のサクラソウ文化が本格的に知られることになった。現在ではアメリカにも愛好会が誕生している。なお、サクラソウとほとんど同じ時代に、イギリスでもサクラソウ属の植物であるオーリキュラ(Auricula, P. x pubescens)が、カーネーションやチューリップなどと共に育種されて多くの品種が作り出された。オーリキュラは愛好会や展示方法などにサクラソウとの類似点が多い一方、花の美はサクラソウと正反対の方向に改良されている。このサクラソウとオーリキュラの同時的歴史は、欧米のプリムラ愛好家たちにも興味深い史実として知られている。

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2015-09-18(Fri)

アガパンサス属

アガパンサス属(Agapanthus)は、単子葉植物の属の1つで、南アフリカ原産。日本では園芸用に球根が販売される。
○分類
APG IIでは、ネギ科、ヒガンバナ科の姉妹群であるアガパンサス科としてキジカクシ目に含められていたが、APG IIIではアガパンサス亜科としてヒガンバナ科にまとめられている。クロンキスト体系ではユリ科、新エングラー体系ではヒガンバナ科に含められていた。

○主な種
およそ10種がある。
ムラサキクンシラン Agapanthus africanus単に「アガパンサス」というと通常は本種のこと。半耐寒性多年草で花期は6 - 7月頃。南アフリカ原産。

○名前の由来
「アガパンサス」はギリシャ語のagape(アガペ 愛)とanthos(アントス 花)の2語の組み合わせで、このため花言葉は「愛」や「恋」にちなんだものが多い。

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2014-10-17(Fri)

松かさ

松かさ(英: conifer cone、pinecone)とは、松(マツ科マツ属)の果実のようなもの(毬果あるいは球果)のことである。松毬、松傘、松笠とも書き、「松毬」は「ちちり」「ちちりん」とも訓読する。まつぼっくり、松ぼくりともいう。これは、「松陰嚢(まつふぐり)」が転訛した語である。「松ぼくり」は晩秋・植物に分類される季語となっている。英語の "pineapple" (パイナップル、パインアップル)は、本来は「松の果実」という名前の通り松かさのことであったが、後に松かさに似た別の果物、すなわち現在のパイナップルを指すようになった(この場合の“apple”は、リンゴではなく単に果実を意味する)。

○構造
アカマツやクロマツの種子は、雌花を構成する鱗片の裏面につく。この鱗片は、主軸に螺旋状につき、全体としては卵形、あるいは卵状楕円形の塊になる。その外面は鱗片の先端の広がった部分によって覆われ、種子の位置する鱗片のすき間は、鱗片先端が膨らんで、互いに密着することで、その内部に閉じこめられ、外から見ることはできない。これが松かさである。種子を中に含む構造という点では果実に類似するが、雌しべの子房に由来する真の果実ではない。種子の成熟には2年かかるので、マツの枝を観察すると、先端に今年の雌花、1年枝の根元に昨年から成長した未熟な松かさ、更に下には種子を放出した後の松かさがついているのが確認できることがある。種子を放出してしばらくすると、松かさは根本からはずれて地上に落ちる。このとき、松かさは大きく開いてやや球形に近くなる。ハイマツやモミ(モミ属)、ツガ(ツガ属)など、あるいはコウヤマキ(コウヤマキ科)などもよく似た松かさを作る。形や大きさは種によってさまざまである。それぞれその形態には特徴があり、それによって属や種の判断ができる。モミの場合、種子を放出するときに鱗片がバラバラになるため、松かさの姿で地面に落ちることはない。

○利用
アカマツやクロマツなどの松かさはその形が面白く、大きさも手頃で、よく保存されるので、子どものおもちゃなどによく用いられる。時には工芸品などに加工されることもある。水で濡らすとかさを閉じ、乾かすと再び開くという性質を生かし、かさが開いている状態では入らず、閉じていれば入るような大きさの口を持つ容器に入れることもある。また、松脂を含み、燃えやすい形状のため、天然の着火剤としても優秀である。キャンプ用品の中には、松かさ1個から数個でシエラカップ1個分のお湯を沸かすキャンピングコンロも販売されている。

○マツ以外の松かさ
球果植物門の植物の場合も、構造的には松かさのようなものを作るが、外見が大いに異なるので、松かさと認識されがたい。被子植物のハンノキなどのカバノキ科の植物やモクマオウ科の植物などもよく似た形になる。いずれも楕円形で、多数の鱗片が螺旋状に並んだものをつけ、その鱗片が隙間を広げて種子散布すると、その全体が硬く乾燥して枯れ、落下する。その形は大抵は松かさより小さいが、見た目はよく似たものである。しかし、これらは全く異なるものである。これらの場合、落下するのは種子ではなく果実であり、松かさ状を構成する鱗片は花の基部の包に由来する。したがって、鱗片の間にあるのが花であって、松かさ状のものは花序である。したがって、大胞子嚢をつける胞子葉に由来する鱗片が単一の軸状に配置する松かさとは似て非なるものである。

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2014-10-17(Fri)

バナナ

バナナ(甘蕉、実芭蕉、学名 Musa spp. )はバショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称。また、その果実のこと。いくつかの原種から育種された多年草。種によっては熟すまでは毒を持つものもある。
○概要
芭蕉と呼ばれたが、食べる方は別名実芭蕉(みばしょう)、漢名は「香蕉」。食用果実として非常に重要で、2009年の全世界での年間生産量は生食用バナナが9581万トン、料理用バナナが3581万トンで、総計では1億3262万トンにのぼる。アジアやラテンアメリカの熱帯域で大規模に栽培されているほか、東アフリカや中央アフリカでは主食として小規模ながら広く栽培が行われている。また、花を料理に使う地域もあり、葉は皿代わりにしたり、包んで蒸すための材料にしたりするほか、屋根の材料などとしても利用される。

○植物学上の特徴と分布
原産地は熱帯アジア、マレーシアなど。バナナの栽培の歴史はパプアニューギニアから始まったと考えられている。「バナナの木」と言われるように、高さ数mになるが、実際には草本であり、その意味では正確には果物ではなく野菜(果菜)に分類される。その高く伸びた茎のような部分は偽茎(仮茎)と呼ばれ、実際には、葉鞘が幾重にも重なりあっているものであり、いわばタマネギの球根を引き延ばしたようなものである。茎は地下にあって短く横に這う。茎のような先端からは、長楕円形の葉(葉身)が大きく伸びる。

○花
花(花序)は偽茎の先端から出て、下に向かってぶら下がる。花序は1本の果軸に複数の果房(果段)がつき、各果房には10本から20本程度の果指から成っている。大きな花弁に見えるのは苞葉で、果指の部分が本当のバナナの花である。果指一つ一つが一本のバナナに成長し果房がバナナの房となる。なお、開花は一本の偽茎につき一回のみで開花後は株元から吸芽を出して枯れてしまう。

○果実
果皮の色は品種によって異なり、一般的に知られるものは緑色から黄色であるが、桃色から紫まで多様である。収穫後時間が経過するにつれて皮の表面に浮かぶ黒い斑点状のものを「スウィートスポット (Sweet spot)」または「シュガースポット (Sugar spot)」と呼び、簡単な熟成のバロメータとなる。また成熟したバナナの皮はクロロフィルの分解物が含まれ、紫外線を照射すると青色の蛍光を発する。また、最初は下へ向けて成長するが、後に上へ向けて成長することから湾曲した形を形成する。キャベンディッシュ種などの食用バナナは三倍体であるため種子を作らない。吸芽の株分けなどで繁殖する。

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2014-08-31(Sun)

ゲッカビジン

ゲッカビジン(月下美人、学名: Epiphyllum oxypetalum、英名: Dutchmans pipe cactus、A Queen of the Night)とはメキシコの熱帯雨林地帯を原産地とするサボテン科クジャクサボテン属の常緑多肉植物である。日本で多く流通しているクジャクサボテン属(Epiphyllum属)には交配種が多いが、これは原産地からそのまま導入された原種である。
○特徴
・花
葉状茎の丈が1mから2mにまで達するとつぼみの形成が見られる。花は、夜に咲き始め翌朝までの一晩でしぼみ、めしべに他家受粉が起きなければ散ってしまう。花冠は20~25cm程度であり、白い。香りが強いこと、夜間開花すること、小型哺乳類の訪花に耐える強度を持つこと、花粉と花蜜が虫媒花よりも多いこと、それらは生態学的に送粉シンドロームのコウモリ媒花の特徴に一致する。これは原産地の新大陸の熱帯地域において花蜜食・花粉食を示す一部のヘラコウモリ科の小型コウモリ類媒介受粉への適応と考えられている。ゲッカビジンは日本での栽培下では6~11月に咲き、この季節に株の体力が十分に回復すれば2~3ヵ月後にもう一度咲くことができる。つぼみは初期は垂れ下がっているが開花直前になると自然に上を向いて膨らみ、夕方に芳香を漂わせはじめる。これもコウモリがホバリングをしながらやや下を向き、舌を伸ばして花蜜と花粉を摂食する行動との共進化と考えられている。コウモリ媒花の特徴を持つサボテンは、ゲッカビジンやこれに近縁なクジャクサボテン近縁種だけでなく乾燥地帯のハシラサボテン類にも広く見られる。開花中の花、開花後のしぼんだ花ともに食用にでき、咲いている花は焼酎につけると保存できる。台湾ではスープの具として使われる。

・茎
茎のほとんどは昆布状の扁平な葉状茎になっており、またしばしば株元から細長い鞭状の茎を伸ばす。葉状茎の縁は波打っており、その凹部のくぼんだ点に産毛状に退化した刺(これが真の葉)を持つ刺座(サボテン科特有の点状にまで短縮した短枝)が位置する。成長点はここと茎頂にあり、これらの箇所から新しい茎(長枝)やつぼみが生じる。

・果実
古くから日本に普及していた株は、原産地から導入されたたった1つの株から挿し木や株分けで増やされた同一クローンであり、受粉に際して自家不和合性を示す特性があるため人工授粉してもほとんど果実が実ることはなかった。しかし1980年代に東京農業大学の研究グループが原産地から野性の別のクローンを持ち帰り、増殖、普及させたため今日では複数のクローンが幾つもの園芸業者によって国内流通しており、これらの間でコウモリに代わって人間が人工授粉してやれば容易に成熟した果実が得られる。成熟した果実は表面が赤く内部の果肉は白くて黒い胡麻状の種子が数多く散在し紡錘形で大きく、近縁種である同じ熱帯雨林原産の着生サボテンであるドラゴンフルーツに似た外見を持ち甘い。そのため古くから日本で栽培されてきたもの以外のクローンを園芸業者が販売する際、家庭用果樹として宣伝し「食用月下美人」の商品名をつけることが多い。

○生育環境
水や窒素肥料を与えすぎると栄養成長に偏った成長となり有性生殖が抑制されるので株だけ大きくなってつぼみをつけないことがあるため、やりすぎに注意する。さらに元来、クジャクサボテン属やこれに近縁ないくつかの属のサボテン科植物は野生状態では着生植物であり、大木の樹皮に根をまとわりつかせて樹上から昆布状の葉状茎の束が垂れ下がるように成長している。そのため樹皮を伝う雨水、樹皮に生えたコケ類、樹の股や洞に溜まった腐植質などから水分や肥料分を摂取しているためそもそも生理的に多肥多湿には強くなく、根ぐされを起こす危険もある。ただ、ゲッカビジンなどクジャクサボテン類の根は樹上の樹の股や洞や岩山の割れ目に溜まったの腐植質やそこに形成された土壌にも深く根を下ろすことが多く同じ着生植物のラン科のカトレアなどと異なり、土壌に対してもかなりの適応力がある。そのため根への十分な通気を確保し、土壌の過湿、極端な多肥さえ避ければ温帯では温室で熱帯、亜熱帯地域では戸外での地上栽培も十分可能であるし、多くの園芸会社はクジャクサボテン・ゲッカビジン用に上記の条件を満たすように調合した培養土を市販してもいる。もちろん多くの洋ランやパイナップル科のアナナス類等、他の着生植物由来の園芸植物と同様にミズゴケ栽培でもよく育つし、十分大きなヘゴ板や丸太状のヘゴ材を用いれば原産地における着生状態を再現した栽培も可能であろう。葉状茎以外に株元から伸びる鞭状の茎は野性の着生状態では、先端部が親株から離れた部位の樹皮などに接触するとそこから発根し、新たな株がそこで成長を始める。原産地はメキシコの熱帯雨林であるため非耐寒性であり、摂氏7度以下になるときは室内に入れるとよい。凍傷になるとその部分の組織が壊死して、葉状茎に褐色斑点ができる。

○文化
花言葉は「はかない美、儚い恋、繊細、快楽、艶やかな美人」。7月19日の誕生花ともされる[1]。古くから珍奇栽培植物として一部では熱心な栽培家も少なからずおり、そうした趣味家の栽培株の開花がマスコミで珍しい現象としてニュースになったりした時代もあるが高い技術を持つ趣味家でなくとも比較的簡単に栽培できる為、近年のガーデニングの流行で人気がでて、栽培者も広く普及して増えてきた。

○俗説
月下美人にはその美しさのためや珍奇植物として好奇の目にさらされていた時代が長かったせいか、いろいろな言い伝えや俗説が流布しているが意外に間違いが多い。
×同一株から分かれたため同じ日に咲く同じクローン株であってもタケ類に見られるような体内時計による長期同調性はなく、あくまでもその株の置かれた環境に由来する生理状態の履歴に依存してつぼみ形成、開花を行う。さらに言うならば、既にこの20年ほどは日本国内に複数の遺伝的に異なるクローンが流通しているのでもう日本国内の月下美人全てが同じ株由来ではない。無数のクローンの生息する原産地では言うまでもない。
×1年に1度しか咲かない手入れをきちんとすると年間2回以上咲く。花を咲かせるだけの栄養素の蓄積や体力回復のゆとりが、成長期に十分あるかどうかの問題である。
×新月の夜にしか咲かない野生状態で受粉を行うコウモリは、月齢に合わせたサイクルで花粉や蜜を食べに来るのではない。そもそもゲッカビジンの受粉に関わるような小型のコウモリは、毎日食事をしなければ餓死してしまう。従って、月齢に合わせた開花サイクルを進化させる必要はなかった。

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2014-06-02(Mon)

ヘレボルス

ヘレボルス(学名: Helleborus)は、キンポウゲ科クリスマスローズ属に分類される植物の総称。ヘレボラスともいう。「クリスマスローズ」という呼称は、クリスマスのころに開花するヘレボルス・ニゲル (Helleborus niger) だけを指した呼称であるが、日本の園芸市場では、「レンテンローズ」と呼ばれるヘレボルス・オリエンタリス (Helleborus orientalis、ハルザキクリスマスローズ) なども「クリスマスローズ」の名前で出回る。
○形態・生態
花に見える部分は、植物学上では「花」ではなく「萼片」という部分である。そのため、鑑賞期間が比較的長い。ただし、本来の花弁も蜜腺として残り、これが大きく発達したものを選別した品種もある。多くの品種は、クリスマスのころではなく、春に開花する。夏は休眠状態となり、根は活動を休止し、呼吸しているだけの状態となる。

○分布
チベタヌス (Helleborus thibetanus) が中国の四川省から雲南省にかけて自生しているのを除けば、15の原種の全てが、東ヨーロッパからバルカン半島からトルコ、シリアに自生している。

○人間との関わり
20世紀後半の品種改良は、主にイギリスでヘレン・バラードやエリザベス・ストラングマンによって進められた。「クリスマスローズ」という呼称も、「イギリスのクリスマス」に開花するという意味である。種により成分は異なるが、ジギタリスに似て強心配糖体ヘレブリンなどの毒を葉・根茎に含む。むかしは民間で強心剤・下剤・堕胎薬などとして使われた。摂取すると、嘔吐、腹痛、下痢、けいれん、呼吸麻痺、めまい、精神錯乱、心拍数の低下、心停止などをひき起こす。また、目や口・のどなどの粘膜がただれたり腫れあがったりする。

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2014-04-26(Sat)

ボタン

ボタン(牡丹、学名:Paeonia suffruticosa)は、ボタン科ボタン属の落葉小低木。または、ボタン属(Paeonia)の総称。 別名は「富貴草」「富貴花」「百花王」「花王」「花神」「花中の王」「百花の王」「天香国色」 「名取草」「深見草」「二十日草(廿日草)」「忘れ草」「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」など多数。以前はキンポウゲ科に分類されていたが、おしべ・花床の形状の違いからクロンキスト体系ではシャクヤクとともにビワモドキ目に編入され、独立のボタン科とされた。APG IIIではユキノシタ目とされる。
○概要
原産地は中国西北部。元は薬用として利用されていたが、盛唐期以降、牡丹の花が「花の王」として他のどの花よりも愛好されるようになった。たとえば、『松窓雑録』によれば、玄宗の頃に初めて牡丹が愛でられるようになったものの、当時は「木芍薬」と呼ばれていたと記載される[。また、隋の煬帝や初唐の則天武后が牡丹を愛でたという故事がある。ただし郭紹林はこれらの故事を慎重に検討し、虚構であると結論づけている。 清代以降、1929年までは中国の国花であったとされることもあるが、清政府が公的に制定した記録はみられない。1929年、当時の中華民国政府は国花を梅と定めた。中華民国政府が台湾に去った後、公式の国花は定められていなかった。中華人民共和国政府は近年、新しく国花を制定する協議を行い、牡丹、蓮、菊、梅、蘭などの候補が挙げられたが、決定に至らなかった。

○ボタン属
シャクヤクとともにボタン属に分類され、英語ではどちらも「Peony」と呼ばれるが、木本性のものは以下の種。
木本性のボタン属Paeonia decomposita
Paeonia delavayi (Delavay's Tree Peony)
Paeonia jishanensis (Jishan Peony; syn. Paeonia spontanea)
Paeonia ludlowii (Ludlow's Tree Peony)
Paeonia ostii (Osti's Peony)
Paeonia potaninii
Paeonia qiui (Qiu's Peony)
Paeonia rockii (Rock's Peony)
Paeonia suffruticosa (Suffruticosa Peony; probably of hybrid origin)

○園芸
樹高は原種で3m、接木で作られる園芸品種で1-1.5m。従来は種からの栽培しかできなくて正に「高嶺の花」であったが、戦後に芍薬を使用した接ぎ木が考案され、急速に普及した。鉢植えや台木苗で市場に出回る。

○園芸品種
・春牡丹
春牡丹は4-5月に開花する一般的な品種。
・寒牡丹
春と秋に花をつける二季咲きの変種。通常は、春にできる蕾は摘み取り、秋にできる蕾のみを残し10月下旬から1月に開花させる。
・冬牡丹
春牡丹と同じ品種を1-2月に開花するよう、特に手間をかけて調整したもの。寒牡丹と混同されることが多いが、これは放置すると春咲きに戻ってしまう。日本牡丹・中国牡丹・西洋牡丹(ピオニー)
品種改良が盛んに行われ、園芸品種が非常に多い。花色も豊富(原種は紫紅色)で、花形も多彩である。
赤・赤紫・紫・薄紅・黄・白
一重・八重・千重、大輪・中輪

○栽培
日当たり・排水の良い地を好む。夏の西日は避けるほうがよい。牡丹苗は接木で作る。花後は株の衰弱を防ぐために、首の部分から切り落とし、お礼肥を施す。植え付けや株をいじるのは、9月下旬から10月下旬が適している。春に花付の鉢植えが、秋に、苗木が売られるので、それで育てる。被子植物なので種からも育てられるが、開花まで時間がかかるので、一般的ではない。そのため、流通する苗のほとんどは、芍薬を台木に接ぎ木にしたものである。秋の苗木は根を切っているので、植えた翌春に咲いても、その後は株が弱り、次に咲くまで時間がかかる。あるいは枯れてしまう。そのため、花を惜しんで幹を切り二年後に期待するという方法がある。花付のものも花が終わると秋には鉢増しをする。土は腐葉土をたくさん含んだ肥沃なものを使用する。なお夏には休眠するので、葉は取る。春に台木から芍薬の芽が伸びてくるが、これはすぐに摘み取る。放置すると接木された牡丹の生育の妨げとなり、最悪の場合、牡丹が枯死して完全に芍薬の株に戻ってしまう。

○薬用
・漢方
根の樹皮部分は「牡丹皮(ぼたんぴ)」として、大黄牡丹皮湯、六味地黄丸、八味丸など漢方薬の原料になる。日本薬局方にも収録されている。薬効成分はペオノール(消炎・止血・鎮痛などに効く)。

なお、日本の正月に飾られるハボタンはアブラナ科で、葉の形が牡丹の花に似ているが、別種で、放置すればそのうちにアブラナに似た花が咲く。また、夏に咲く草丈10センチメートルほどのマツバボタンはスベリヒユ科の園芸品種で、これも別種である。


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2013-11-15(Fri)

キンモクセイ

キンモクセイ(金木犀、学名: Osmanthus fragrans var. aurantiacus)はモクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、モクセイ(ギンモクセイ)の変種。中国では、正しくは丹桂がこれに当たるが、一般には桂花の名で呼ばれることがある。しかし、金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)などを含む全ての亜種・変種・品種を総括するものである。

○形態・生態
秋に小さいオレンジ色の花を無数に咲かせる。雌雄異株であるが、日本では雄株しか入っていないので結実しない。雄しべが2本と不完全な雌しべを持つ。花は芳香を放つ。芳香はギンモクセイよりも強い。香りの主成分はβ-イオノン、リナロール、γ-デカラクトン、リナロールオキシド、cis-3-ヘキセノールなど。このうち、γ-デカラクトンなどはモンシロチョウなどへの忌避作用があることが判明している。

○分布
中国南部原産で、日本には江戸時代に渡来した。

○人間との関わり
主に庭木として観賞用に植えられている。花冠は白ワインに漬けたり(桂花陳酒)、茶に混ぜて桂花茶と呼ばれる花茶にしたり、蜜煮にして桂花醤と呼ばれる香味料に仕立てたりする。また、桂花蟹粉(芙蓉蟹の別名)、桂花鶏絲蛋、桂花豆腐、桂花火腿などのように、鶏卵の色をキンモクセイの花の色に見立てて名づけられた卵料理は多く、正月用の菓子である桂花年?のようにキンモクセイの花の砂糖漬けを飾るなど実際にこの花が使われる料理もある。キンモクセイの花は甘めでしっかりした強い香りであることから、日本において汲み取り式便所が主流で悪臭を発するものが多かった時期には、その近くに植えられることもあった。その要因から、香りがトイレの芳香剤として1970年代初頭から1990年代前半まで主流で利用されていたため、一部年齢層においてはトイレを連想させることがある。秋の季語である。

○都道府県・市区町村の木に指定している自治体
・都道府県
静岡県
・市区町村
茨城県-牛久市
千葉県-八街市
神奈川県-横浜市泉区、中井町、大井町
長野県-高森町
静岡県-掛川市、袋井市
愛知県-名古屋市天白区、日進市、蟹江町
滋賀県-草津市
大阪府-大阪市淀川区、豊中市
兵庫県-明石市
奈良県-三宅町
和歌山県-紀の川市
岡山県-建部町(2007年1月22日、岡山市へ編入合併)
福岡県-田川市、小竹町、筑前町
佐賀県-鹿島市
熊本県-山鹿市、宇土市、甲佐町
大分県-別府市


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2013-10-27(Sun)

トクサ

トクサ(砥草、木賊、学名:Equisetum hyemale)は、シダ植物門トクサ科トクサ属の植物。本州中部から北海道にかけての山間の湿地に自生するが、観賞用などの目的で栽培されることも多い。表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化し、砥石に似て茎でものを研ぐことができることから、砥草と呼ばれる。地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させる。茎は直立していて同じトクサ科のスギナやイヌドクサ、ミズドクサの様に枝分かれせず、中空で節がある。茎は触るとザラついた感じがし、引っ張ると節で抜ける。節の部分にはギザギザのはかま状のものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっているが、このはかま状のぎざぎざが葉に当たる。茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、ここに胞子ができる。その姿のおもしろさから、庭で栽培されることもある。茎は煮て乾燥させたものを紙ヤスリのようにして研磨の用途に使う。また紙ヤスリが一般的な現代でも高級なつげぐしの歯や漆器の木地加工、木製品の作業工程などの磨き仕上げる工程に使用されていることや、音楽家の滝廉太郎は、身だしなみに気を遣ったため、常々トクサで爪を磨いていたことがよく知られている。クラリネットなどのリード楽器の竹製リードを磨いて調整するのにもトクサが用いられる。干した茎は木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬で、その煎液を飲用すると目の充血や涙目に効果があるといわれている。小話に、明治時代の郵便夫が、わらじがあまりにすり減るのを嘆き、すり減らなさそうな材料としてトクサを使う話がある。その結果、足先からすり減って頭だけになった郵便夫は、頭を鞄に片づけて帰ったという落ちである。「木賊刈る」は秋の季語。

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